2017年07月13日

家族の団欒と幸福度について 3902

昨日、横浜市新市庁舎移転新築工事の起工式が予定地(中区本町6丁目50番地の10)で行われました。築60年を迎えようとしている現庁舎の設備全体の老朽化、スペース不足対応、災害対策等々の理由から整備の必要性が議論されてきました。横浜市は明治22年(1889)に人口11万6千人の市として誕生。市の発展と共に歩み続けてきた市庁舎は、関東大震災や横浜大空襲の災禍による焼失などにより、主に都心部の中で度々その位置を変え、現視聴者は昭和34年(1959)に建設された7代目のもの。2020年完成を目指してスタートです。

ところで、先日、格差社会論や労働問題の第一人者として社会に有意な発信を続けている京都大学名誉教授の経済学者・橘木俊詔氏がインタビューに応えられていました。昔から大変鋭い指摘と提案をされる先生です。

人生の充実感を得る上で「家族の団らん」が大きな役割を果たしていることは重要だが、現実はそういった「団らんが持てない家族」が増えていることが問題との質問に対して。

 そもそも全体的に、個人主義が徹底された社会になってきて、人との付き合いや助け合いといった関係性が面倒であり、好きではないという人が増えてきています。その中で、高い離婚率や若者の結婚願望の低下など、家族の絆が希薄化しているのは現実であり、それ自体をダメだと批判したり、否定しても意味がありません。むしろここで重要なのは、経済的な貧困や劣悪な労働環境などの問題から、結婚したくてもできない若者や、「団らんのある家庭」をつくりたくても、つくれずに孤立している家族が増えているということです。

特に、ひとり親家庭の相対的貧困率は5割を超えており、子どもが十分な教育を受けられずに、将来にわたって貧困が連鎖しかねない事態は大変に深刻です。これまでの日本社会は自己責任の考えが強く、子どもの教育は家族に責任と負担を押し付けてきました。GDP(国内総生産)に占める「教育への公的支出」の割合が先進国の中で最低レベルであるというショックな数字は、日本が子どもの教育を家族に依存してきたことを物語っています。

しかし今や、家族だけでは子どもの教育の機会均等を支えることができなくなっていることは間違いない。ならば政府や行政による福祉を軸として、社会全体で困難な状況にある家族を守りながら、未来ある子どもの教育を支えていかなくてはいけないと思います。

 また、若い学生・社会人への技能教育・職業訓練についても同じことがいえます。かつての企業は、安定した長期雇用の中で若い社員の技能教育をする役割を果たしてきましたが、今は余裕がなく、即戦力になる人ばかりを雇用する傾向にあります。現在、世界で最も幸福度が高いといわれるデンマークをはじめ、北欧諸国やドイツなどでは、学生に対する技能教育や、社会人になってからの職業訓練の機会が十分に広がっています。

 これからの日本社会も、子どもや若者への教育・技能訓練に関わる政策などを充実させ、一人一人の労働生産性を向上させながら、個人の幸福度と経済成長をバランスよく両立させる、新しい福祉国家へと進んでいく必要があると考えます。」

急速に少子高齢化が進み、人口減少社会に突入した日本は、かつてのような経済成長を望めないといわれる。その中でこれからの若い世代が未来へ希望を持って進むために、どんな視点が必要かとの質問。

「経済学では、経済成長のないゼロ成長に近い状態を「定常状態(経済)」と呼びますが、これを19世紀に指摘したのがジョン・スチュアート・ミルです。ミルは地球上で開墾できる土地が有限であることに注目し、農業や工業における生産の成長にも制約がある以上、経済は定常状態に向かうと示しました。

 このミルの思想は、その後の経済成長一辺倒の世界にあって重視されることはなかったのですが、20世紀、人類の生存そのものを脅かす地球環境問題に直面して以来、あらためて注目されてきたといえます。つまり、有限な地球環境の中で生きる人類には、際限なき経済成長は許されず、持続可能な経済成長の中で生きていくことが必要不可欠だといえます。

 ましてや人口減少が続く日本で、高い経済成長を実現するのは現実的ではなく、地球の資源・環境を考えれば決して望ましいことでもありません。 過去の「国民生活に関する世論調査」などの結果からも、経済成長率が向上したからといって、人生の充実感や幸福度が増すとは限らないことが分かっています。

 そういった意味では、一人一人が、経済成長や物質的な豊かさだけから幸福感を得るのではなく、精神的な充実や心の豊かさから幸福を実感できる「新しい幸福観」を持っていくことが、重要になってきているのではないでしょうか。

 アジアの発展途上国ブータンは、経済的には決して豊かではありませんが、国民の幸福度が高い国として知られています。
 一般的な経済指標であるGNP(国民総生産)とは別に、経済以外の要素を入れたGNH(国民総幸福)という独自の指標をもとに、幸福度を高めてきたといわれます。

 それが実現できた背景には、国民の多くが、チベット系の仏教を信仰しており、高い所得や華美な消費を追求することよりも、家族や地域との結び付きや支え合いの中で、安心感を得ることを重視する考え方があるとされます。

 もちろん宗教であれば何でもよいということではありませんが、やはり善い宗教を信じることは、精神的な幸福を得るために大切だと私は思います。

 特に、経済の拡大成長期から定常期へと移行していく時代には、有限な地球資源や環境への配慮、他者と助け合う共生・共存の精神など、「幸福とは何か」について、人類が思想的に成長・飛躍していくことが必要になってきます。」

発展する街・横浜。豊かな街・横浜。新市庁舎もひとつの象徴になるかと思います。各人の捉え方は様々でしょうが、市民の「幸福」のために寄与する仕事をしていかねばならないと感じる次第です。

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posted by 横浜市会議員 行田朝仁 (ぎょうた ともひと) at 00:00| 神奈川 ☀| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする